請願第6 労働者保護ルール改悪反対を求める請願

紹介議員 岡野孝男 

【請願主旨】
 我が国は,働く者のうち約9割が雇用関係の下で働く「雇用社会」です。この「雇用社会日本」の主人公である雇用労働者が,安定的な雇用と公正な処遇の下で安心して働くことができる環境を整備することが,デフレからの脱却,ひいては日本経済・社会の持続的な成長のために必要です。
 それにもかかわらず,いま,政府内に設置された一部の会議体では,「成長戦略」の名の下に,「解雇の金銭解決制度」や「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入,解雇しやすい正社員を増やす懸念のある「限定正社員」の普及,労働者保護の後退を招くおそれのある労働者派遣法の見直しなどといった,労働者を保護するルールの後退が懸念される議論がなされています。働く者の犠牲の上に成長戦略を描くことは決して許されることではなく,むしろ政府が掲げる「経済の好循環」とは全く逆の動きであるといえます。連合は,労働者保護ルールの改悪に断固反対します。
 また,政府内の一部の会議体の議論は,労働者保護ルールそのものにとどまらず,労働政策に係る基本方針の策定のあり方にも及んでおり,労使の利害調整の枠を超えた総理主導の仕組みを創設することも提言されています。雇用・労働政策は,ILOの三者構成原則に基づき労働政策審議会に於いて議論すべきであり,こうした提言は国際基準から逸脱したものと言わざるを得ません。
 こうした現状に鑑み,貴議会に於いて,下記の内容を柱とする労働者保護ルール改悪反対を求める意見書を採択のうえ,国会及び関係行政庁にご提出くださるよう請願いたします。

【請願事項】
1.不当な解雇として裁判で勝訴しても,企業が金銭さえ払えば職場復帰の道が閉ざされてしまう「解雇の金銭解決制度」,解雇しやすい正社員を増やす懸念のある「限定正社員制度」の普及,長時間労働を誘発するおそれのある「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入などは行うべきではないこと。
2.低賃金や低処遇のまま派遣労働の拡大につながりかねない法改正ではなく,派遣労働者のより安定した直接雇用への誘導と処遇改善に向けた法改正を行うべきこと。
3.雇用・労働政策に係る議論はILOの三者構成原則に則って,労働者代表委員・使用者代表委員・公益委員で構成される労働政策審議会で行われるべきこと。


【付託】 平成26年第1回定例会

【付託先】 環境経済委員会

【委員長報告の要旨】 
 審査では,委員から「請願を提出した労働者団体としては,雇用の安定を軸に地域社会の発展を目指すという趣旨もある。そういった考え方の中で,労働環境の整備は重要」,「雇用の安定,働く環境の整備,あるいは労働者保護の観点から,願意は妥当」との賛成の意見,「今後,団塊の世代等が退職を迎え,労働力不足が予想される中,それぞれのライフスタイルに合わせた,様々な働き方があった方がよい」などの反対の意見がありました。

【結果】 
採択



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