陳情第15 太陽光発電の名のもとでの土砂の埋立てに反対する陳情

【付託】
 平成30年第1回定例会

【要旨】
[問題の発端及びその現場について]
 昨年平成29年秋頃から土砂を埋立て太陽光発電をしたいので,同意書を下さいと見知らぬ男の人が各家を訪れるようになりました。
 その場所(以下現場)は県道(石岡〜真壁線)の柿岡車庫から上曽方面に向かって500メートル位先の道路沿いにあります。旧みどり幼稚園の跡地で,昨年土地造成をして現在はプレハブ小屋と頑丈な鉄の門が立っているシマクリーンという事業所の隣接地です。県道に沿って50メートル,大きな樹木に囲まれたがさやぶが南側にひろがっています。目印としては道の反対側に峯鍼灸接骨院とか田中歯科医院の看板があります。
 歩道の柵越しに見渡してみると,道路からすぐに5メートル位低くなっていて,その先は急斜面地でところどころ深い窪地があり,まさに人が転げ落ちそうな斜面が続いています。その下に小川が流れていると聞きました。
 道に沿ってすぐ先には家があり,まとまって住宅3軒と事業所1か所が,その現場の一部を囲むように建っています。
 県道沿いには両側とも家々が途切れることなく続いています。

[現場にまつわる,これまで近隣住民が受けてきた苦しみ]
 八郷地区は山々に囲まれた起伏に富む盆地のため,土砂の埋立て事件がたくさん起きています。現場一帯でも例外ではありません。
・その1
 2〜30年前に現場の窪地につながる100メートル先で起きたことです。それまでは山林で覆われていた土地で山林が伐採され見通しがよくなりました。その前方には広大な窪地があり,そこをめがけてある日突然早朝に,何台も何台もトラックがごみを乗せて押し寄せてきました。ブルがそれをくるくるとかき混ぜて,日がのぼる頃には何事もなかったかのような日々が続き,半年位して,県南合同庁舎の人たちがきてくれてやっとおさまりました。
・その2
 4〜5年前にも今回おきている事例と同じようなことが持ち上がりました。現場に老人ホーム(千葉県の人)をつくりたいので,八郷の業者から土砂を埋立てたいと話がありました。その業者から頼まれたとかで地元のおじいさんが同意書を持って歩いていました。現場隣の3軒が所有していた道を突然,その道の側面の土地の一部を元地主から買ったので,この道をトラックの搬入路にしたいと地元の土木業者がトラック使用の同意書がほしいと何度も何度も訪ねてきました。そんなはずはない,3軒の共有道路だと強行に反対した結果,土砂の埋立ての話はなくなりました。
・その3
 平成28年6月,現場の隣,旧みどり幼稚園の跡地はかなりの急斜面だったのですが,そこにブルが動き出し,竹藪をこわし整地作業が始まりました。入りロは道路面と同じ高さだったため,そこにトラック,普通車,軽自動車が常時2〜30台の車がとまっていました。その中には「がんばれ福島」などの車もとまっていました。一体これから何をするんだろうと心配になってしまいました。建築廃材を運んでいるとのことでしたが,朝早くからユンボが動いているので夜中になにか運んでいるのではないかとの不安の声も聞かれました。そのころ持ち込まれた土からは,一日中煙のような湯気が立っていました。7月になるとユンボで石を砕く音が一日中続き,かなりの騒音が近所に響き渡りました。土浦合同庁舎環境保安課の調査ではコンクリートやアスファルトを砕いて破片を再利用する工場をつくる予定とのことでした。騒音については市の生活環境課で騒音測定会社に依頼してくださり,その後やっと静けさを取り戻すことができました。平成29年1月には砂利などの資材置場にするとかで現在は門がしまっています。この場所がトラックの搬入路になるのではないでしょうか。

[問題点及び要望]
(1)土砂の埋立について
 面積  約13,000平方メートル(約4,000坪)
 土砂の量 34,800トン(10トントラックで3,500台)
 条例では5,000平方メートル以上の場合は,県の許可ということになっています。知事は業者から事前協議書を受け付けたら,埋立て所在地である石岡市長に地元調整,土地利用上の整合性,周辺生活環境への配慮に関する意見を照会することになっており,市長はそれに対する回答書を送付することになっています。市長の意見書によって知事は判断の材料にするわけですから,市長は十分な調査をしなければならない重大な責務を負っています。
(2)太陽光発電について
 1メガワットとは,1,000キロワットのことです。
 県の条例では,急傾斜地の崩壊による災害防止のため,30度と決められているが,石岡市の条例では斜面に対する条項はないとのことです。斜面での設置を認めないということであればたいへん幸運ですが,市の検討課題でもあります。
(3)住民が危惧していること
 現場は県道のすぐそばの土地です。県道は住民が通勤通学また産業道路としてもたくさんの車が走っています。子どもの通学路でもあり,散歩やジョギングの道でもあります。周囲の山からはハングライダーが空を舞い,高台のこの地から見る筑波山は県内屈指の素晴らしい景観です。
 なぜこのようなすばらしい環境のところに太陽光発電をつくらなければならないのでしょうか。なぜ太陽光発電という美名のもとに大量の土砂(残土,産業廃棄物,放射能に汚染された土を含む)を運び込まれなければならないのでしょうか。
 今回近隣住民に配られた同意書は非常にまぎらわしいものです。太陽光発電のお願いといいながら,土砂持ち込みの同意書のようでもあります。これはきわめて狡猾で誤解を生む詐欺まがいの文書です。
 太陽光発電の設置では斜面は土台が不安定なため,コンクリートで固めなければならず,平地よりもコストがかかります。事業者が設置を途中で放棄したり着手そのものも放棄してしまうかもしれません。そうなると残土だけが残されてしまいます。喜ぶのは残土業者だけです。その後県道の土が崩落しても県が改修すればすむことですが,困るのはそばの住民です。今まで雑地で保護されていた境界が崩落するかもしれません。全長100メートルに及ぶ崩落も心配です。
 現場のすぐ手前のグリーンクリニックの隣地には下水処理場建設ででた良質な土が何ヘクタールの広さで積まれています。業者がどうしても土がほしいとのぞむなら,いずれ始まる上曽峠のトンネル工事の土を辛抱強く待つべきではないでしょうか。
 この計画が県及び市で許可されるとしたら,これが悪しき前例となって,八郷地区は都会のごみ捨て場になってしまうでしょう。

 以上の観点から,私たちはこの現場への土砂の搬入,及び土砂の搬入と太陽光発電がセットになった今回の計画に反対します。

【付託先】
 教育福祉環境委員会

【委員長報告の要旨】
 審査では,委員から「この陳情は非常に切迫したものだと受け止め,断固としてこれを見過ごしてはならない」などの意見が出されました。

【結果】
 採択