〒315-8640
茨城県石岡市石岡一丁目1番地1
Tel 0299(23)5600

gikai@city.ishioka.lg.jp

議会中継
  


第4回定例会 可決した意見書

平成23年第4回定例会では,次の意見書を可決し,関係行政機関などへ送付することとしました。


 所得税法第56条の廃止を求める意見書


 農業者および中小業者(以下,自営業者)は,地域経済の担い手として日本経済の発展に貢献してきました。
 その中小零細自営業者を支えている家族従業者の「働き分」(自家労賃)は,税法上,所得税法第56条「配偶者とその親族が事業に従事した時,対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文要旨)により,必要経費に認められていません。
 事業主の所得から控除される金額は,配偶者の場合は86万円,家族の場合は50万円で,家族従業者はこのわずかな控除しかなく,社会的にも経済的にも全く自立できないことから,他の職業を求め,後継者不足に拍車をかけています。
 税法上では,青色申告にすれば,賃金を経費にすることができますが,同じ労働に対して,青色や白色など申告の仕方で働き分を認めたり,認めなかったりする制度自体が矛盾しています。ドイツ,フランス,アメリカなど,世界の主要国では「自家労賃を必要経費」として認めています。
 所得税法第56条は,戦前の家族制度・世帯単位課税制度の名残であり,現在の憲法と矛盾するものと思われます。現在,家族関係が家族を中心とする考え方から個人を重視する考え方へと変化している中で,一人一人の働き分を正当に評価するのは,人権上からしても当然であります。税法上も,民法,労働法や社会保障上でも,家族従業者の人権保障の基礎をつくるためにも,所得税法第56条を廃止することを求めるものです。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。



 送付先 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,財務大臣,法務大臣

  国民生活の安心と向上を図る各種基金事業の継続を求める意見書


 安心社会を構築するため,医療や介護の充実,子育て支援の強化などに対する各種基金制度が設けられ,地方自治体における迅速かつ柔軟な取り組みに対して支援が行われてきました。しかし,こうした基金事業の多くが今年度限りで終了します。
 特に,下記に掲げる基金については,多くの関係者から事業継続を求める声が上がっております。国民生活の安心と向上を図る上からも,こうした基金および基金事業を継続するよう,政府に強く求めます。

 1.子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン,H@bワクチン,小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を財政支援する基金であり,ワクチン接種について予防接種法の対象疾病に位置付ける法改正が実現するまで継続すべきである。
 1.安心子ども基金,および妊婦健康診査支援基金保育所や放課後児童クラブなどの整備を後押しする安心子ども基金、および妊婦健診の負担軽減を図る妊婦健診支援基金について政府は,新たに創設する子ども・子育て新システムの中で対応するとしているが,具体的な中身が明らかになっておらず,当面は基金事業による対応が現実的であり,継続すべきである。
 1.介護職員処遇改善等臨時特例基金介護職員の賃金引き上げなどを行うための基金として創設し,今年度末まで予算措置されているが,来年度以降の対応は,引き続き基金事業によるのか介護報酬によるのか,方向性がまだ見えていない。介護職員の処遇改善は極めて重要な課題であり,介護報酬で手当できない場合は,既存の基金を積み増しし,着実に賃金引上げなどに充てられるよう措置すべきである。
1.障害者自立支援対策臨時特例基金
 障害者自立支援法の施行に伴う事業者の経過的な支援を行うため,平成18年度から20年度までの特別対策として実施し,その後,既存事業の拡充や新たな事業を盛り込み,今年度末まで延長されている。来年度以降も,新体系移行後の事業所支援やグループホーム等の設置補助などが必要であり,基金継続によって柔軟な支援をすべきである。
1.地域自殺者対策緊急強化基金
 地域における自殺対策の強化を図るための基金として,電話相談窓口の充実など地方自治体における具体的な取り組みに活用されており,こうした取り組みを切れ目なく支援するため,継続かつ基金の積み増しが必要である。
  
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。



 送付先 内閣総理大臣,厚生労働大臣,文部科学大臣,内閣府特命担当大臣

 鳥獣被害防止対策の充実を求める意見書


 近年,野生生物による農作物の被害は,深刻な状態にあり,その被害は経済的損失にとどまらず,農家の生産意欲を著しく減退させ,ひいては農村地域社会の崩壊を招きかねないなど,大きな影響を及ぼしています。
 野生鳥獣による農作物被害額は,平成21年度において213億円で,前年度に比べて14億円増加しています。鳥獣被害全体の7割がイノシシ,シカ,サルによるもので,農作物の被害に止まらず,山林の荒廃を招き,豪雨時の土砂流出被害にもつながっている,との指摘もあります。
 このような状況を踏まえ,国においては平成19年12月,議員立法(全会一致)により,「鳥獣被害の防止のための特別措置に関する法律」が成立。これに基づき鳥獣被害防止総合対策交付金の支給や地方交付税の拡充,都道府県から市町村への獲得許可の権限委譲など,各種支援の充実が図られました。
 しかしながら,生息域の拡大を続ける野生生物による被害防止を確実なもの
とするためには,ハード・ソフト両面による地域ぐるみの被害防止活動や地域リーダー,狩猟者の育成,被害農家へのより広範な支援などの対策の強化が不可欠です。
 また,野生生物の保護並びに被害防止対策のための適切な個体数管理の上からも,正確な頭数の把握は欠かせませんが,その調査方法はいまだ十分なものとはいえず,早期の確立が望まれます。
 よって国におかれては,鳥獣被害防止の充実を図るため,下記事項を速やかに実施されるよう強く要望します。

 1 地方自治体が行う被害防止施策に対する財政支援を充実すること。
 2 現場では有害鳥獣対策についての専門家が不足していることから,専門的な知識や経験に立脚した人材の養成及び支援策を講じること。
 3 有害鳥獣の正確な生息数の把握ができる調査方法を確立すること。
 4 効果的な野生鳥獣被害防止対策を構築すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。



 送付先 内閣総理大臣,農林水産大臣,環境大臣,総務大臣

 視覚障がい者からテレビを遠ざけない地上デジタルテレビ放送を求める意見書


 障がい者の平等な暮らしと社会参加の推進は,我が国において社会と地域の大きな課題となっています。情報の8割以上が視覚情報である現代社会において,視覚障がい者が安心して生活するためには情報格差をこれ以上広げない対策が求められています。
 FM放送とテレビのアナログ放送はともにVHF帯の電波を使うため,多くの視覚障がい者が,値段が安く1台で両方聴けるFMラジオでテレビを楽しんできました。しかし,本年7月,地上波テレビはデジタル放送へと完全移行(被災3県を除く)したことにより,テレビの音声をFMラジオから聴くことができなくなってしまいました。多機能化に伴ってテレビの操作はこれまでより複雑になっていますが,リモコンなどの操作情報の音声化の開発などはメーカー任せでなかなか進んでいません。また,テレビ情報の平等な入手に欠かせない解説放送を増やす具体的な施策もない上,FMラジオによるテレビ放送受信の道も絶たれてしまい,このままでは視覚障がい者からテレビが遠ざけられてしまいます。「平成18年身体障害児・者実態調査結果」によれば,情報の入手方法の第1位がテレビ(一般放送)であり,視覚障がい者の66%を占めています。テレビは欠かせないメディアであり,災害時においてもテレビ情報は視覚障がい者にとっても不可欠です。
 また,FMラジオで聴くことができるテレビ放送は,視覚障がい者だけでなく,テレビが見られない中で作業を行う様々な職種の方々にもニーズがあり,こういった方々にとっても欠かせないものでありました。
 よって,国におかれては,下記事項を速やかに実施されますよう強く要望します。

 1.携帯用ラジオに,テレビの地上デジタル放送の受信機能を付加し,従来通りテレビ放送が聴けるようにすること。
 2.受信機や録画機のリモコンの全ての機能が,音声ガイドを手がかりに操作できるテレビの開発を推進する施策を講じるなど,視覚障がい者の使いやすさを最大限考慮すること。
 3.解説放送,ニュースなどのテロップ・字幕の読み上げを大幅に増やし,テレビ放送における情報バリアをなくすこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。



 送付先 内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣