陳情第5 国に対し,「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の採択,提出を求める陳情


【付託】
 令和2年第2回定例会

【陳情趣旨】
 無辜の者を誤った裁判から迅速に救済するために,@再審における検察手持ち証拠の全面開示,A再審開始決定に対する検察の不服申立て(上訴)の禁止,を内容とする「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」を貴議会において採択され,国へ提出していただきたく陳情いたします。

【陳情の理由】
 一たび確定した判決といえども,もしえん罪の恐れがあるならば,高い人道的観点から,また基本的人権の尊重という趣旨から,できる限り救済の道を開くことが必要であります。
 日本の再審制度のあり方は,「再審をやってください」という再審請求手続きと,実際に再審請求が認められておこなわれる再審公判手続きという二段階の制度になっています。
 多くの再審事件で一段階目の請求手続きにおいて,検察は請求を頑として認めず,裁判所の再審開始決定に対しても不服申立てをして争うというひどい対応をしています。再審制度は,実体的真実のために,法的安定性(一度確定したもの)を犠牲にする非常救済手続きですが,法的安定性を強調するあまり,再審の条件をいたずらに厳格かつ形式的に解し,再審の道を閉ざすことがあってはなりません。再審制度の本質を無視して,機械的に再審を拒むとするならば,再審制度の存在意義は失われます。
 現在,再審制度は刑事訴訟法に規定がありますが,条文数は19条のみで,極めて大ざっぱな規定です。個々の裁判で,裁判所の解釈,運用にすべて委ねられているのが実態です。
 再審法の抱える主たる問題点は2つあります。一つは捜査段階で集めた証拠を開示しないことです。公費を使って収集され国民の財産である全ての証拠は,隠すことなく弁護団の開示請求に応じ,真実解明に役立てるべきです。もう一つの問題点は,検察官の抗告権(上訴)です。都合の悪い証拠を隠しておきながら,裁判所が再審開始決定を出しても従わず,即時抗告,特別抗告を行うことは許されません。
 つきましては,貴議会におかれましても,究極の人権保障といわれる再審制度の意義を理解され,えん罪被害者を救い,「無実の人は無罪に!」という当然の法理を実現するために,国に対して刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を促していただきたく心からお願い申し上げます。
 以上のとおり陳情致します

【付託先】
 総務委員会

【委員長報告の要旨】
 委員からは「えん罪防止の観点から賛成」との意見や,市民,国民には知る権利もあるのではないか」という意見,「議論をする上では,専門的な知識が必要ではないか,有識者や専門家でも意見が分かれるようなところだと思うので,地方議会が提出するべき性質の問題なのか」との意見が出されました。

【結果】

 採択