陳情第37 介護療養病床廃止中止を求める意見書採択を求める陳情

【付託】 平成21年第3回定例会

【要旨】
 2006年の第164通常国会で成立した医療制度改革関連法によりますと,地域の高齢者の入所介護や医療を担う介護療養病床(全国で12万床)が2012年3月までに全廃される計画となっており,既に全国的にベッドの削減等が進行して退所せざるを得ない高齢者が生まれています。
 この計画が実施されますと,療養病床数が激減し,地域から高齢者の療養ベッドがなくなり,茨城県でも約1,700人余りの高齢者が代わりの施設や住宅での療養場所を確保しなければなりません。
 代替施設として昨年創設された介護療養型老人保健施設(新型老健)では,医療従事者の人員制限があり,医療サービスの低下が懸念されます。そのための県内ではまだ1件も設立されていません。また,高齢化が急速に進行している実態を考え,介護療養病床の廃止によって高齢者の受け皿がなくなり,多くの「療養難民」「介護難民」が生み出されることは明らかです。
 昨年末に行った当会の「急性期医療機関における療養病床削減に関する影響調査」でも,地域の医療を担う多くの病院が,高齢者の療養ベッド不足のため,急性期のベッドを療養ベッド代わりにするなど,各病院の持つ本来の機能を十分に発揮できないことが明らかとなり,そのため多くの病院では,療養病床の「現状維持」もしくは「増床」を切望していることが調査結果で判明しました。
 つきましては,地域住民がいつでも,どこでも,安心して必要な医療と介護を受けられるよう,何とぞ御高配を賜りますようお願いいたします。
(陳情事項)
1.介護療養病床廃止の中止を求める意見書を政府に提出してください。


【委員長報告の要旨(教育福祉委員会)】
 
本陳情の趣旨は,2006年の通常国会で成立した「医療制度改革関連法」により,地域の高齢者の入所介護や医療を担う介護療養病床が2012年3月までに全廃される計画となっており,既に全国的にベッドの削減等が進行し,退所せざるを得ない高齢者が生まれていることから,地域住民が安心して,必要な医療と介護が受けられるよう,国の関係機関に対し,介護療養病床廃止中止を求める意見書の提出を求めるものです。
 9月9日の審査において,委員からは,介護療養病床を廃止することになった理由について質疑がなされ,これに対し執行部から,療養病床は,主として長期にわたる療養を必要とする患者を対象とする病床であるものの,医師の手厚い医療よりも,介護が必要な人が入院している場合が少なくないとのことでした。そこで,医師の手厚い医療が必要な人は療養病床へ,主として介護の必要性が高い人は介護施設へ,それぞれ適切なサービスを提供する体制を整えるためであるとの説明がなされました。
 その後,委員から,療養病床の再編については,さらに精査する必要があるとの意見が出され,本陳情は,さらに調査・検討する必要があることから,この日の委員会審査は,継続審査としたところです。
 次に,11月18日の委員会では,委員から,政権が交代による,当陳情に関する政府としての対応について質疑がなされ,これに対し,執行部からは,去る11月2日の衆議院予算委員会において,厚生労働大臣から,介護療養病床の廃止については,凍結する方針であるとの表明がされた旨の説明がなされました。
 その後,委員から,現厚生労働大臣は,介護療養病床の廃止について,凍結する考えが衆議院予算委員会の中で表明され,委員会内での答弁ではあるものの,現厚生労働大臣が凍結するという考えのもと,最終的には国の判断になりますが,この『介護療養病床廃止の中止を求める意見書』については提出することが妥当であるとの意見が出されました。
 以上の審査のあと,討論する委員はなく,本陳情については,その趣旨・願意を妥当と認め,全会一致をもって「採択すべきもの」と決した次第です。


【審査結果】 採択