陳情第38 「地域の県立高校の存続と,30人以下学級実現でゆきとどいた教育を求める意見書提出」に関する陳情
【付託】 平成21年第3回定例会
【要旨】
茨城県教育委員会は,「県立高校再編整備の前期実施計画」の実施後に「実施計画」の検証も行わず,「後期実施計画」が進行中の2007年8月に,「茨城県高等学校審議会」を再開しました。高校審議会は,8ヶ月の極めて短い審議の中で,2008年4月に「平成32年までに96学級の削減が必要」との答申を出しました。
審議会答申を受けて,県教育委員会は2009年7月に「第2次県立高等学校再編整備の基本計画」を発表しました。「基本計画」では,「平成21年3月から32年3月の間に77学級程度の学級減が必要」「募集定員から入学者数を引いた数が2年連続して40人以上となった場合原則として募集停止とする。」「単独の募集停止もある」など,小規模校の統廃合を強力に推し進めようとしています。
県教育委員会は「県内の高校生が今後12年間で4500人減少するので,高校の統廃合が必要」という立場を取っていますが,生徒数が減少するのは8年後からです。また,
生徒数減少には地域間格差があって,減少する地域もあれば増加する地域もあります。生徒数が減少しているからという理由で,学校を統廃合してしまえば地域の町づくりにも大きな影響を及ぼすことは必至です。また,小規模校で学んでいる高校生や学校の実態を詳細に調べた上で,統廃合ではなく,一人ひとりの生徒を大切にするために,どのような教育的支援が必要であるかを明らかにしていく責任が県教育委員会にはあります。
「格差社会」が経済,教育などあらゆる面で国民生活を苦しめ,「格差」の是正を求める国民の声は大きく広がっています。今,教育行政に求められるのは,地域住民の声を聞き,一人ひとりの子どもたちが大切にされる教育を実現することです。
「県立高校の統廃合計画を見直し,さらなる統廃合を中止し,1学級の定員を30人以下とすること」,「受験競争や遠距離通学を緩和すること」が緊急の課題となっています。つきましては,貴議会においてこれらの課題について話し合って頂き,意見書を茨城県知事と茨城県教育委員会委員長に提出してくださるよう陳情いたします。
【委員長報告の要旨(教育福祉委員会)】
本陳情の趣旨は,現在,茨城県教育委員会が進めている県立高校の統廃合計画を見直し,さらなる統廃合を中止し,1学級の定員を30人以下とすること。さらに,受験競争や遠距離通学を緩和することについて,茨城県知事及び茨城県教育委員会委員長に対し,意見書の提出を求めるものです。
審査において委員からは,昨年度も同様趣旨の陳情が提出され、当委員会において、慎重に議論・検討した結果、不採択となった経緯もあり、また、本陳情に関する県の動向についても昨年度と大きく変わっていないという状況の中では、昨年度と同様に不採択とすべきものであるとの意見が出されました。
以上の審査のあと,討論する委員はなく,本陳情については、全会一致をもって「不採択とすべきもの」と決した次第です。
【審査結果】 不採択