陳情第48 家族従業者の人権保障のため「所得税法第56条の廃止を求める意見書」提出を求める陳情
【付託】 平成23年第1回定例会
【要旨】
全事業所の90%を占めるといわれている私たち中小業者は,文字通り地域経済の担い手として,日本経済の発展に貢献してきました。しかし,長期不況に追い打ちをかけるように,リーマンショック以後に進行している深刻な経済情勢の中で,倒産・廃業などかつてない危機に直面しています。
そんな中で,業者婦人は自営中小業者の家族従業者として,営業に携わりながら,家事・育児・介護と休む間もなく働いています。しかし,どんなに働いても家族従業者の「働き分」(自家労賃)は,税法上所得税法第56条「配偶者とその親族が事業に従事した時,対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文要旨)の規定により,必要経費としては認められておりません。
事業主の所得から控除される働き分は,配偶者の場合は86万円,家族の場合は50万円です。配偶者もさることながら,息子などの家族従業者は,僅か50万円の控除が所得とみなされるため,社会的にも経済的にも全く自立できません。このことは,同じ制度が適用されている農林業,水産業と石岡市の基幹産業での後継者を育成する上でも足かせになって,後継者不足に拍車をかけています。
所得税法第56条は,日本国憲法の法の下の平等(憲法第14条),両性の平等(同24条),財産権(同29条)などを侵しています。税法上では青色申告にすれば,給料を経費にすることができますが,同じ労働に対し,青色と白色で差をつける制度自体が矛盾しており,基本的人権を侵害しています。
明治時代の家父長制度そのままに,人格や労働を認めない人権侵害の法律が,現在も業者婦人を苦しめており,ドイツ・フランス・アメリカなど,世界の主要国では『自家労賃を必要経費』としている中で,日本だけが世界の進歩から立ち後れ,取り残されています。私たちは税法上も,民法,労働法や社会保障上でも「一人ひとりが人間として尊重される憲法に保障された」権利を要求します。
貴議会において,主旨を充分にご理解頂き,地方自治法第99条の規定に基づき,国の関係機関に意見書を提出していただきたく陳情いたします。