請願第10 改正貸金業法の早期完全施行等を求める意見書を政府等に提出することを求める請願(紹介議員 岡野孝男,村上泰道)

【付託】 平成21年第4回定例会

【要旨】
(請願趣旨)
地方自治法第99条の規定に基づき,国会及び関係行政庁に対し,すべての人が多重債務に陥らないように,現存する多重債務者が早期に救済されるよう,以下の施策を国に対して求める意見書を提出することを採択していただくよう請願します。
 1 改正貸金業法を完全施行すること。
 2 自治体での多重債務相談体制の整備のため相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
 3 個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
 4 ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
(請願理由)
 わが国では,消費者金融の利用者は1,000万人を超え,クレジットカードの発行枚数はおよそ3億枚,消費者信用残高は70兆円を超え,家計の最終支出に占める消費者信用の割合は4分の1にのぼります。このような中,多重債務問題が深刻化しています。これら深刻な多重債務問題の大きな要因となってきたのがクレジット・サラ金・商工ローンなどの貸金業者の高金利,過剰与信,苛酷な取立て及び大量宣伝などです。
 こうした多重債務問題の解決をめざして,2006年には消費者金融の高金利の引き下げ等を求めて法曹界や労働者福祉団体・被害者団体などが結束し,貸金業界等の抵抗にも関わらず,貸金業法の画期的な改正という大きな成果をあげました。
 政府も多重債務問題の深刻さを認識し,多重債務者対策本部を設置し,同本部は@多重債務相談窓口の拡充,Aセーフティネット貸付の充実,Bヤミ金融の撲滅,C金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定しました。そして,現在では多くの自治体も多重債務問題に取り組み,官民が連携して多重債務対策を実施した結果,多重債務者が大幅に減少し,2008年の自己破産者数も13万人を切るなど多重債務対策は確実に成果をあげつつあります。そして,出資法の上限金利の引き下げ,収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)などを含む改正貸金業法が完全に施行されれば,貸金業者の高金利,過剰与信等が是正され,政府,自治体の多重債務対策も相まって,多重債務問題はさらに改善されることになります。
 改正貸金業法の完全施行の先延ばし,金利規制などの貸金業者に対する規制の緩和は,再び自殺者や自己破産者,多重債務者の急増を招きかねず許されるべきではありません。今,多重債務者のために必要とされる施策は,相談体制の拡充,セーフティネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などです。
 そこで,国に対し多重債務問題解決のため以下の施策を求めるための意見書を国会及び関係行政庁に対して提出することを採択していただくよう請願します。 

【委員長報告の要旨(市民経済委員会)】
 本請願は,全ての人が多重債務に陥らないよう,また現存する多重債務者が早期に救済されるよう,国等に対し,意見書の提出を求めるものであります。
 請願の中では,バブル崩壊後において,貸金業者に対する規制が不十分であったことが,結果として多重債務問題を深刻化させることとなり,今,改正貸金業法の完全施行を先延ばしすることは,多重債務者の急増を招きかねないと指摘しております。あわせて相談体制の拡充やセーフティネット貸付けの充実,ヤミ金融の撲滅などの多重債務対策が現在成果を上げつつあることから,これら施策のさらなる充実を求めております。
 審査において,はじめに執行部に対し,当市における多重債務に関する相談状況について説明を求めました。その後,続けて執行部からセーフティネット貸付けの状況について報告がなされました。
 当委員会においては,請願者が述べているとおり,国では多重債務者対策本部を設置し,多重債務問題改善プログラムの策定など問題解決に向けた取組みが進められ,多重債務者や自己破産者の減少などの成果があがってはいるが,さらなる多重債務問題の解決のためには,本請願で求めるところの施策の推進は必要であり,意見書を提出することは,願意妥当との認識を持ったものです。
 以上のことから,質疑,討論はともになく,採決を行った結果,請願第10は全会一致で「採択すべきもの」と決した次第です。


【審査結果】 採択