請願第12 請願「八ッ場ダム中止問題について」(紹介議員 小松美代子)
【付託】 平成21年第4回定例会
【要旨】
戦後60余年,我が国はひたすら「輸出産業による経済成長」を進め,富の再分配を「公共事業」を軸に進めてきました。結果,美しい山河はコンクリートで固められ,政官業の利権構造と,膨大な財政赤字が残されました。
8月30日,国民の意思による初めての政権交代が実現しました。そこに示された国民の意思は,憲法で保障された「国民福祉」であり,「土建国家」からの転換でありました。 国民の付託を受けた新政権は「コンクリートから人へ」を掲げ,その象徴である「八ッ場ダム事業の中止」を表明いたしました。新しい国づくりの方向が示されたのです。
八ッ場ダム事業の中止は,茨城県民にとりましても大きな意義があります。治水においては,福田政権時の政府見解で「カスリーン台風が再来してもその効果はゼロ」とされており,利水にあっては,受益者である下流6都県の水余りは日量600万トンを数え,茨城県においても余剰工業用水を加えると80万トンもの水余りを抱えています。このように意味を失った八ッ場ダムは,県財政の赤字と高い水道料金となって県民の負担を増大させるだけの存在となっています。
現在,八ッ場ダム中止に対し,下流都県知事をはじめ各方面からの中止反対の声が上がっています。しかし,そのどれもが科学的裏づけを欠いた「反対のための反対」に過ぎません(別紙資料)。八ッ場ダム中止は,一義的には「税金の無駄遣いの廃止」「環境保全」などにありますが,大きくは国民が望む「国民による国民のための政治」「コンクリートから人へ」の実践にあります。いま,この国は歴史的な岐路にあります。戦後60余年,ようやく手にした健全な民主主義をしっかりと根付かせ,次世代に引き渡す責任が,いまを生きる私たちにはあります。
八ッ場ダム中止の意味を十分に検討され,粛々と中止を進められるよう,地方自治法第99条の規定により国の関係機関(国土交通大臣)へ意見書を提出して頂きたく請願いたします。
【審査結果】 不採択