陳情第1 大幅増員と夜勤改善で安全,安心の医療・介護を求める陳情

【付託】 平成23年第2回定例会

【要旨】
 長寿世界一を誇る日本の医療は,長年にわたる社会保障費抑制政策の下でも,医師,看護師等の懸命な努力で支えられてきました。医療現場は,長時間・過密労働に加え,医療技術の進歩や医療安全への期待の高まりなどで,医師・看護職員などの労働環境は厳しさを増し,離職者も多く深刻な人手不足になっています。そして元来の医師数の少なさから,都市部以外の地域では地域医療が「崩壊」といわれるほど医師が不足し,診療科や病院の閉鎖が相次いでいます。これらにより,医療現場の実態はかつてなく過酷になっており,全国各地で医師や看護師等の不足が深刻化しています。
  さらに,3月11日に東日本大震災が「医療崩壊」の最も激しい東北地域を中心に起き,医療体制の立て直しに非常に大きな課題を残しています。茨城は人口当たりの医師・看護師数が全国最下位レベルの県であり,特に不足が深刻な県北・鹿行地域で大きな震災被害がありました。人手不足で普段でもまるで「非常事態」のようであるのに,さらに輪をかけた過酷さになっています。他病院との連携や職員の懸命な努力でようやく医療が行なわれている現状を改善させなくてはなりません。そして災害の中で医療を続けるには,被災地はもとより,全国規模で支援を行う側の医療体制にも人的余裕が必要と,全国各地で増員を求める運動が広がっています。
  大震災を通じて,危機管理の要である医療において人員や施設ともに充実していかなければ,誰もが安心して住み続けられる地域復興はありえないと考えています。そのためにも,震災前から訴えているように,看護師などの夜勤交替制労働者の労働条件を抜本的に改善し,人手を大幅に増やして,安全・安心の医療・介護を実現することが大切です。医療・社会保障予算を先進国並みに増やし,国民が安心して暮らしていける制度が求められています。
  以上の趣旨から,看護師等の大幅増員を実現し,安全でゆきとどいた医療・看護・介護の拡充を図るため,下記事項につき,地方自治法第99条にもとづく国に対する意見書を決議していただけるよう陳情いたします。

【陳情項目】
 1.ILO看護職員条約に基づき,看護師の夜勤交替制労働者の労働時間を1日8時間,週32時間,勤務間隔を12時間以上とすること。
 2.医療,社会保障予算を先進国(OECD)並みに増やし,医師・看護師・介護職員等を大幅に増やすこと。
 3.国民(患者・利用者)の負担を減らし,安全・安心の医療・介護を実現すること。

【委員長報告の要旨(教育福祉委員会)】
 執行部から陳情項目について,現状や解説などの説明があった後,委員から「執行部として陳情項目に対して,石岡市としてどのように進めていくのか」との質問に対して,執行部から「これらの内容については,制度の問題でもありますので,石岡市の執行部が対応できるものはございません。」との答弁がありました。委員から,「関係機関でそれなりの努力をしているだろうと思うが,安全安心の医療介護を求めるものであり,採択することでよろしいのでは。」との意見や「陳情項目1では,労働条件がどうなっているのか比較して研究が必要であること。陳情項目2では,先進国並みにというだけで,目的やゴール地点をどこにするのかが示されておらず,漠然とした記載であるということ。陳情項目3では,国民(患者・利用者)の負担を減らし,とあるが,具体的な負担内容が示されていない。」との意見のほか,「県内すべての行政単位に提出されておらず,石岡市で具体的にどのような行動をすれば良いのかという,内容ではない。」との意見が出されました。
 この審査の後,討論をする者はなく,採決したところ,「不採択とすべきもの」と決した次第です。


【結果】 
不採択