陳情第20 東海第二原発の廃炉を求める陳情
東日本大震災から1年を迎えようとしています。年末に政府が「収束宣言」した福島原発事故は,今でもさまざまな問題にぶつかり,収束の見通しはありません。10万人近い原発被災者の多くは,今も自分のふるさとや家に戻る展望を持てない避難生活を強いられています。放射能汚染の被害は周辺の各県にも広がり,大気も土も食べ物も汚染されています。風評被害も深刻です。
大震災の時,東海第二原発は自動停止しましたが,外部電源が絶たれました。内部電力となるディーゼル発電機も1台が津波で使用できなくなりました。残る2台の発電機で3日半もかかり,やっとのことで炉心を冷却して危機を乗り切りましたが,実際は福島原発と紙一重の事態でした。
東海第二原発の20km圏内には水戸市も入り,71万人も住む人口密集地域です。30km圏内では県民3分の1の100万人を越えます。石岡市を含む50km圏内には144万人,県民の半数の方々が生活をしています。万が一にも原発事故が起きたら,茨城県全県はもとより,近隣各県、首都東京も大きな被害を受けます。
東海第二原発は昨年5月に定期点検を開始し,昨年11月終了の予定でしたが,今年8月までに大幅に延長しました。しかも定期点検終了前後にも試運転を開始すると言われ「安全対策を補強した」と新たな「安全神話」を盛んにアピールしています。しかし,この間も水漏れ事故などが頻発しています。また,地震大国日本では「原発はこれで安心」という保障はどこにもありません。
また,東海第二原発を含め一帯は百里基地の戦闘機訓練空域になっています。大事故はいつも「想定外」という形をとって現れることを考えるなら,原子炉への墜落事故も十分ありえます。実際,ドイツでは原子炉事故に「大型飛行機の墜落事故」を想定した対策も図られています。
さらに東海第二原発は,運転開始から34年も経過した「老朽原発」です。原発そのものの事故やトラブルも現実の危険性です。政府が「原発の運転期間は原則40年」を打ち出し「最長40年を徹底させる」ため「40年を越えている日本原子力発電敦賀一号機と関西電力美浜一号機(いずれも福井県)の運転再開は困難」との認識を示したことからも「老朽原発の危険性」は明らかです。
地元東海村の村上村長は「東海第二原発」の運転再開に絶対反対です。日立市長も「将来的に廃炉」と言及,那珂市長やかすみがうら市長も「東海第二原発の再稼動反対」を表明しました。橋本県知事も「しっかり納得できる説明がなければ(再稼動は)難しい」と表明(2/1)するようになりました。
また議会の動きでは,北茨城,土浦,取手市議会では,「廃炉」を求める意見書が採択されました。五霞町議会でも同様の意見書が採択されています。
茨城大学が行った原発近隣市町村住民へのアンケートでも「東海第二原発再稼動」に慎重な意見が85%にも及んでいます。県内でもさまざまな地域で「子どもたちを放射能から守る」取組みが広がり「こんな危険な原発は無くすべき」という思いが高まってきています。
主旨をお汲み取りの上,採択していただけるよう,よろしくお願いします。
陳情事項
地域住民の不安を取り除くため,東海第二原発の廃炉を求める意見書を内閣総理大臣及び茨城県知事に送付すること,並びにその旨を自治体住民に周知すること。
【付託】 平成24年第1回定例会
【付託先】 議会運営委員会
【委員長報告の要旨】 省略 (当議会の慣例に従って,議会運営委員会の委員長報告は,省略)
【結果】 採択