陳情第21 「社会保障と税の一体改革」による消費税の増税は行わないことを求める意見書提出に関する陳情

 各議員の皆様におかれましては,東日本大震災・原発事故からの復興支援,地域経済回復と住民の生活を守るため,昼夜を分かたぬご奮闘をいただいておられることに敬意を表します。
 長期化する不況の出口が見えないまま発生した東日本大震災により,国民の生活はますます困難な状況におかれています。こうした状況のなか,国民には税金が重い負担となってのしかかり,本県でも国税・地方税を問わず税金滞納と差押えが増加しています。
 政府は,「税と社会保障の一体改革」「震災復興財源」の両面から増税論議を行い「10年代なかばまでに段階的に10%」まで引き上げるとの方針にもとづき,消費税増税法案を,今通常国会に提出するかまえです。
 しかしながら,消費税はもともと低所得者ほど負担が重い逆進性の強い税金であり,この不況下で消費税増税を行えば庶民の生活を直撃し,さらなる景気低迷という悪循環をもたらします。また,生活再建のため住宅建設や家財道具の購入が必要な被災者には最も厳しい税金です。
 日本商工会議所など経済4団体の実態調査でも,小規模企業の7割が消費税を転嫁できないと回答されているように,消費税は地域の中小業者にとって価格に転嫁することが困難で,少なからず自腹を切って納税するという実態があります。消費税増税が行われれば,中小事業者の経営をさらに困難なものとし,そこに勤める方々の賃金抑制と雇用不安にもつながり,地域経済に深刻な打撃を与えます。
 もともと消費税は「高齢化社会を支えるため」「福祉の財源にする」という説明で導入されましたが,年金保険料の大幅値上げ,支給開始年齢の引き上げ,医療費の負担増など,その後の経過を見れば明らかなように福祉は年々悪くなる一方です。また,財政再建という点でも,国と地方の債務残高は900兆円を超えるところまで悪化し,消費税が国家財産に貢献しないことは明らかです。また,消費税が増税されれば,1997年,3%から5%への消費税増税で,好転していた日本経済が大きな不況に陥ったように,国民の消費は落ち込み,地域経済は大きな打撃を受けるのは必須といえます。今後の少子高齢化社会を踏まえ,社会保障財源の確保及び国の財政を再建するには,税金の使い方を改革し,不要不急の予算を削減するなど,税金の使い道を福祉と国民の暮らし優先に変えていくことが必要です。
 財政再建,震災復興の財源としては,消費税導入以来,数次にわたって引き下げられた法人税,所得税などの税率を導入当時の水準まで担税力のある大企業,高額所得者,資産家に応分の負担を求めること,不要不急の公共事業の見直し,米軍への思いやり予算,政治家が分け取りする政党助成金など税金の無駄使いを見直すことで充てるべきだと考えます。
 よって,石岡市議会におかれましても,庶民の生活,地域経済に深刻な打撃を与える安易な消費税増税に強く抗議する意見書の採択・送付をお願いさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。



【付託】 平成24年第1回定例会

【付託先】 総務企画委員会

【委員長報告の要旨】 
 3月16日に開催しました委員会の審査の経過について,申し上げます。審査において,はじめに本陳情の受理の経緯及び概要について事務局から説明を受けました。その後,委員からは,「現在の状況下で消費税を上げる事は,庶民の暮らしを直撃し、また中小企業にとっても大きな打撃を与え,益々景気の低迷をもたらすものであり,消費税をあげるべきではない。」という意見や「消費税制度そのものに欠陥があるため,税をただ上げるというのではなく,消費税制度そのものの改革について議論してほしい」との意見が出されました。その後「この社会保障と税の一体改革については,現在国会で日毎に議論が変わるようなめまぐるしい論戦が続いていることからも継続審査されるべきではないか」との意見が出され,この日の審査においては,継続審査としたところでございます。
  次に5月22日に開催しました委員会での審査の経過について申し上げます。最初に,執行部から国における現在の消費税増税に関する法案の概要,また,これに伴う自治体への影響等について説明を受けた後,前回の審査を踏まえ,各委員に意見を求めました。 委員からは,「今までの歴史を見ても消費税を上げて,社会保障がよくなったかというとそうではない。まして,日本の景気も良くない最悪の状況で消費税を上げることは,市民の生活,地域経済に大きな打撃を与えるもので,安易な消費税の増税はすべきではない。」という意見,また,「高齢者が増え,医療費も上がっている状況の中では,受け入れざるを得ないのではないか」との意見「石岡市でも65歳以上の方が25%を超えている中で,社会保障をどうするかという問題を考えたとき,最終的には消費税を上げることに賛成である」さらには,「医療の最後のよりどころの国民健康保険制度においても高齢者の加入者が増えている中,今後を考えたとき,現在のレベルを維持し,また,厳しい状況を好転させるためには増税もやむを得ない。」との意見のほか,「社会保障と税の一体改革は,国会での本質を見極める観点からも,もう一度継続審査にしたほうがよい」などの意見が出されました。
 以上の審査の後,本陳情に賛成の委員の起立を求めたところ,起立少数により本陳情は,「不採択とすべきもの」と決した次第であります。

【結果】 
不採択



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