陳情第29 学校図書館の蔵書整備・充実に関する陳情

1)件名
  学校図書館の蔵書整備促進について
2)陳情の趣旨
  市内小・中学校の学校図書館の蔵書整備・充実の継続的な実施
3)陳情の理由
 @学校図書館の整備・充実の必要性について
 「OECD生徒の学習到達度調査(PISA調査)」によると,我が国の児童生徒については,思考力・判断力・表現力等を問う読解力に課題があるとされています。このことは若年層の「活字離れ」,「読書離れ」といった現象を裏付けるものと考えられます。特に,児童の発達段階における「読書体験」は情操の発達や理論的思考を養うなど,あらゆる教育的要素を包括するものと考えられます。学校教育における読書活動,すなわち学校図書館の整備・充実こそが「未来の宝」である子どもたちにとって,大きな成果となることは間違いないものと思われます。
 A新学習指導要領への対応について
 平成20年3月に文部科学省より新しい学習指導要領が告示されました。それまでの学習指導要領の理念であった「生きる力」をはぐくむことは,新学習指導要領にも引き継がれ,今回の改訂は,その具体的な手立てを確立するためのものといえます。「生きる力」すなわち「基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと,自ら課題を見つけ,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力」は,すべての教科の学習で重要視されています。これをうけ,「小学校学習指導要領解説 国語編」では,第3・4学年において「記録や報告の文書,図鑑や事典などを読んで利用すること」が言語活動例として明記され,いわゆる「調べ学習」の実践がこれまで以上に重要視されています。実際,平成23年度より利用が始まった小学校国語教科書においては,すべての出版社の教科書で事典や図鑑を利用し「調べ学習」を行う単元が含まれています。同様,中学校でも平成24年度より利用が始まる国語教科書において,主に「メディアリテラシー」(いろいろな情報を評価・識別し,活用する能力)の観点から図書館におけるリファレンスの根源ともいえる百科事典の活用が述べられています。さらに,こうした状況を踏まえ,これまで以上にリファレンス機能を有した学校図書館及び担い手である学校図書館司書の役割が大きくなることも付記しておきます。しかしながら,石岡市の学校図書館の状況をみると,従来の学校図書予算(特に今年度は減額)の枠組みの中では,グループ学習の実践など,児童の学習に十分な蔵書を整備するに至っていないのが現状です。特に,高額品となる図鑑・事典類については,特別な措置を講じていただきたいというのが学校現場の切実なる願いとなっています。日本国憲法第26条第1項では「すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する」とし,「教育を受ける権利」は基本的な人権のひとつとされています。「経済」の格差イコール「教育」の格差とならないよう,ぜひとも善処していただければ幸いです。
 B地方財政措置について
 昨年12月,総務省より「平成24年度地方財政への対応について」を公表し,その中で学校図書館に関わるものとして,「学校図書整備5か年計画」(財政規模約200億円,5か年計約1,000億円),「住民に光をそそぐ事業」(財政規模約300億円)が計上されています。
4)陳情事項
 @石岡市内27小中学校へ地方財政措置をお願いし「学校図書整備5か年計画」で十分な蔵書を継続整備して頂きたい。
 A高額品となる図鑑・辞典類の購入に特別な措置を講じて頂きたい。
 B地元書店商業組合が推薦する,日本書店商業組合の図書装備(日書連マーク)を統一使用するために,石岡市内27小中学校図書館全てへコンピューターの配置とシステムの導入をお願いしたい。

 石岡市における子どもたちの健全な育成はもとより,「知に基づく地域づくり」の一環として,上記事項をご検討の上,なにとぞ,よろしくお願い申し上げます。


【付託】 平成24年第3回定例会

【付託先】 教育福祉委員会

【委員長報告の要旨】
 委員から,「小中学校での蔵書管理状況や不都合が生じているのか。」との質問に対して,執行部から「学校図書は,学校司書を中心に行っており,現状の対応でも十分である。」との答弁がありました。また,委員から「学校司書による蔵書管理や図書検索などの見解」に対して,「ネットワークで蔵書を検索できれば,便利になるが,司書の処遇を考慮する必要がある。」との答弁があました。委員から「システムを導入すると,各学校での共通検索システムが確立できるのか。」との質問に,「インターネットを介して各学校のシステムを連結,運用するので,ほかの学校からも検索が可能である。」との答弁,このほか,「コンピューターの配置とシステムを導入した場合の費用は,どのくらいかかるのか。」との質問に「システム整備に約1,300万円,学校へのパソコン,プリンター等の備品を含め約2,000万円を超える費用が必要である。」との答弁がありました。
 また,委員から,「学校の統廃合の問題にも関わり,時期尚早である。」との意見。「1項目,2項目について,その願意は,妥当であるが,3項目のシステムの導入には,現状のままで対応すれば良いのではないのか。」との意見があり,一部採択とすべきという意見が出されました。

【結果】
 一部採択(陳情事項@,Aは,採択)



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