請願第1 年金積立金の専ら被保険者の利益のための安全かつ確実な運用に関する意見書の採択を求める請願
【付託】
平成27年第2回定例会
紹介議員 村上 泰道
【要旨】
公的年金は高齢者世帯収入の7割を占め,6割の高齢者世帯が年金収入だけで生活しています。また,特に高齢化率の高い都道府県では県民所得の17%前後,家計の最終消費支出の20%前後を占めているなど,年金は老後の生活保障の柱となっています。
しかし,グリーンピア問題や年金記録問題,厚生年金基金問題等により国民の年金制度に対する不信感は根強く,国民年金保険料の現年度納付率は60%前後で推移しています。未納者・未加入者は約305万人で,将来,無年金・低年金となり生活困窮に陥る可能性が高いと予想されています。
そのような中で,政府は,成長戦略である「日本再興戦略(2013年6月14日閣議決定)」などにおいて,「公的・準公的資金の運用等の在り方」についての検討を掲げ,年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し,リスク性資産割合を高める方向での改革を求め,2014年10月31日,基本ポートフォリオが大きく変更されました。年金積立金は,厚生年金保険法等の規定にもとづき,専ら被保険者の利益のために,長期的な観点から安全かつ確実な運用を行うべきものであり,日本経済への貢献が目的ではありません。まして,GPIFには保険料拠出者である被保険者の意思を反映できるガバナンス体制がなく,被保険者の意思確認がないまま,政府が一方的に方向性を示し,見直しが進められていることは問題であると言わざるを得ません。リスク性資産割合を高め,年金積立金が毀損した場合,結局は厚生労働大臣やGPIFが責任をとるわけではなく,被保険者・受給者が被害を受けることになります。
こうした現状に鑑み,貴議会において別紙の内容を柱とする意見書を採択の上,国会および関係行政庁に提出くださいますよう,要請申し上げます。
【請願内容】
1.年金積立金は,厚生年金保険法等の規定にもとづき,専ら被保険者の利益のために,長期的な観点から安全かつ確実な運用を行うこと。
2.これまで安全資産とされてきた国内債券中心の運用方法から,株式等のリスク性資産割合を高める方向での急激な変更は,国民の年金制度に対する信頼を損なう可能性があり,また,国民の財産である年金積立金を毀損しかねないため,責任の所在を明確にすること。
3.GPIFにおいて,保険料拠出者である労使をはじめとするステークホルダーが参画し,確実に意思反映できるガバナンス体制を構築すること。 「平和安全整備法(平和安全法制)」の今国会での強行に反対し,慎重審議を求める意見書を関係機関に提出してください。
【付託先】
教育福祉環境委員会
【委員長報告の要旨】
審査では,委員から「年々,年金受給金額が減額している状況の中,安定した供給を求めるには年金法に基づいた安全かつ確実な運用をしていくことが必要であるとともに,責任の所在を明確にし,運用上労働者及び使用者も参画して進めていく必要があるためこの請願は願意妥当」,「少子高齢化社会が進むと保険収入が減り給付が増加する。長期的に安定した年金給付のためには年金運用が重要である。運用の効果としては段階的に運用改定を行って収益累積は増加している傾向にあるため,適切な運用がなされていると考えられる。」といった意見がありました。
【結果】
不採択