請願第10 奨学金制度の改善と教育費負担の軽減に関する意見書の採択を求める請願

 紹介議員 村上 泰道

【付託】
 平成28年第4回定例会

【要旨】
 わが国では,1998年以降下がり続ける保護者の賃金収入と,相反して上がり続ける大学の学費により,学生は奨学金を借りなければ大学に通うことが困難になっています。奨学金制度を運営する「独立行政法人日本学生支援機構」によれば,2014年度実績では135万人(無利子奨学金47万人,有利子奨学金88万人)が同機構の奨学金を利用しています。これは,全国の大学生のほぼ2人に1人にあたります。
 他方で,大学卒業後には3人に1人の学生が非正規雇用となっており,2015年4月には,返還猶予期間が5年から10年に延長されたものの,奨学金を借りた8人に1人が返済の滞納や猶予の状態にあるとされています。このような状況にあるにもかかわらず,政府は,国立大学の授業料(2015年度約54万円)を更に値上げし,2031年度には約93万円にすることを検討しています。
 こうした実態は,学ぶ意欲と能力をもった貧困世帯の子どもが,高等教育を受けることにより相対的に高い職業能力を身につけたとしても,貧困から脱することができない状況を生む可能性を示唆しています。
 こうした現状に鑑み,貴議会において,下記の内容を柱とする意見書を採択の上,国会および関係行政庁に提出くださいますよう,請願いたします。

【請願事項】
 1.貸与型から給付型へ,奨学金制度を抜本的に転換し,大学等において国の給付型奨学金制度を導入するとともに,高校を含めて拡充すること。
 2.貸与型奨学金は無利子とし,延滞金は廃止(廃止までの間,返済金は元金・利息・延滞金の順に充当)すること。また,所得に応じた無理のない返済制度をつくり,返済困難者の実情に即して適切な救済を行うこと。
 3.大学等の学費の引き下げや授業料減免の拡充等を図ること。

【付託先】
 
教育福祉環境委員会 

【委員長報告の要旨】
 
委員からは「向学心がありながらも経済的な理由により進学できないという状況において,抜本的な奨学金制度の改善の必要があることから,この請願は願意妥当と判断する」との意見が出されました。

【結果】

 採択